ひとつ頼みごとを聞いちゃくれんかな?

なんでしょう、アンディじいさん。私にできることはそんなにたくさんありませんが?

Nespresso Pixie Clips 咖啡機やいや、たいそうなことじゃありゃせんよ。この銘柄のシガレットをな、ひと箱買ってきてもらえんかと思うてな。今日はもう手が萎えてしもうて、車イスを動かしとうないのじゃよ。

よろしいですとも、アンディじいさん。さて、私のでよろしければ、いま一本さしあげますが?

いやいやけっこう、まだまだ残っておるんじゃよ。しかしそのうちなくなるのNespressoでな、あっちの店もこっちの店も、みいんな閉まってしまう前に、買っておきたいと思うてな。

なるほどなるほど、そうですか。たしかにたくさん残っておりますな。では、買ってくるのは後ほどでよろしいですか? 私はまず向こうの席へ行って、このコーヒーを飲みながら書きものをしようと思いますので。

もちろんじゃとも、もちろんもちろん、お書きなされ。

『 風のかけら 』
~Forty Leaves Rustling in the Wind~


これは〝おとぎ話集〟である。僕が住み慣れたサンフランシスコの街を、裸のサルのようにうろつきまわって採集した、〝人〟のかけらのストーリーたちだ。

 喜びのかけら、悲しみのかけら
 温かいかけら、冷たいかけら
 濡れそぼったかけら、干からびたかけら
 どれも小さく、か弱い、〝人〟のひとかけら

でもそれは、こんなにもまぶしい太陽のもと、こんなにも爽咖啡機やかな風につつまれて、〝人〟が〝人〟を生きている証し……待て待て、つづきは四〇葉を並べ終えてからにしよう……。